>> English


 研究業績



大豆中に糖尿病・糖尿病性腎症予防に効果の高い画分を発見
-人工透析の減少に繋がる可能性-
学術誌;Molecular Nutrition & Food Research 掲載
(論文中のデーターが表紙に採用)
 
   

JHENG Huei-Fen助教
不二製油()では以前より大豆の新規な抽出・分離技術の検討を行い、大豆から脂質を多く含む画分と、脂質を含まない低脂肪画分の抽出・分離に成功した。そこで本技術の深堀を行うため、京都大学と共同研究講座『「不二製油」大豆ルネサンス講座』を設立し、幅広い観点から研究を進めている。
その成果の一つとして、本講座のJHENG Huei-Fen助教がマウスを用いて行った研究の結果、低脂肪画分の摂取により、糖尿病およびそれに伴う腎臓の疾病(糖尿病性腎症)の予防に顕著な効果があることが示された。
糖尿病性腎症は、その進行に伴い人工透析を必要とする重篤な疾病であり、また近年増加の一途を辿っている。本研究は、大豆成分の有効な利用により、糖尿病性腎症の予防に役立つ可能性を示唆するものである。      
本研究成果は学術論文として、専門学術誌 Molecular Nutrition & Food Researchに掲載されると同時に極めて有用な研究であるとしてその学術誌の表紙にも採用された。
 
『「不二製油」大豆ルネサンス講座』の構成
*大豆ルネサンス講座専任
 特任教授;廣塚元彦、特定助教;JHENG Huei-Fen;特定助教;水谷由記子、共同研究員;柴田雅之 
*品質科学講座・品質評価学分野(松村康生教授)
*食品健康科学講座・食品分子機能学分野(河田照雄教授)

論文内容
・雑誌名
 Molecular Nutrition & Food Research; Volume 61,Issue 3, 1600461, March 2017
・論文タイトル
 Dietary low-fat soy milk powder retards diabetic nephropathy progression via inhibition of renal fibrosis and renal inflammation
・著者
 Huei-Fen Jheng, Motohiko Hirotsuka, Tsuyoshi Goto, Masayuki Shibata, Yasuki Matsumura and Teruo Kawada 

概要説明

大豆を原料として、油分を約5%程度しか含まない低脂肪画分(たん白質52%、糖質34%)と脂質を45%程度含む高脂肪画分(たん白質52%、糖質0%)を抽出し、凍結乾燥を行って試料を作成した。カゼイン、大豆油、スクロースを用いて蛋白質/脂質/糖質の含量を調整した飼料を用い、KKAyマウスを試験動物として4ヵ月摂餌試験を行った。その結果低脂肪画分にのみ顕著な糖尿病性腎症の予防効果を認めた。
そこで、低脂肪画分を用い、カゼインを対照区としてより詳細な検討を行った。
その結果、今回の表紙に採用された写真に見られるように、糖尿病を発症した対照区の腎臓では、組織の線維化、MCP-1などの増加に伴う炎症、そしてメサンギウム細胞の肥大化が起こっていることが確認された。これらの腎臓組織の変化は、やがて腎臓の重要な機能である濾過機能に障害を与えることになると考えられる。
その一方、低脂肪画分の投与群ではそのような変化が少なく、腎症の進行が妨げられていることがわかった。
結論として、低脂肪画分は糖尿病によって惹起される腎臓に対する直接/間接の障害を、防止もしくは遅延させる効果を認めることができた。
以上の研究結果を踏まえ、現在は本論文に示された効果が、どのようなメカニズムで起こっているかを検証する試験に取り組んでいる。

(参考;本論文による大豆成分の生理機能のイメージ図)

腎臓は正常に機能している場合、B)のように血液を濾過し、老廃物を除去します。
一方A)のように糖尿病により腎臓の濾過機能が低下すると、多くの老廃物が残ったままになり、生体の維持にとって大きな障害なりますます。従って、人工透析などで、老廃物を除去することが必要になります。
しかし、本論文で示した大豆成分の存在により、C)のように腎機能の悪化は大きく改善されます。 


【学会発表】

大豆種子の加熱処理による種子中のタンパク質や油脂の存在状態の変化
水谷由記子,柴田雅之,南部優子,廣塚元彦1,2,松村康生
日本食品科学工学会第63回大会

1 京都大院農, 不二製油グループ本社(株)


〒611-0011
京都府宇治市五ヶ庄
京都大学大学院農学研究科農学専攻
「不二製油」大豆ルネサンス講座

TEL: 0774-38-3781
E-mail: fujisoy(at mark)kais.kyoto-u.ac.jp